2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

浮世絵漫歩 21 保永堂竹内孫八の仕事

先に保永堂竹内孫八について書きましたが、保永堂版と呼ばれる東海道五十三次を一覧表にしてみました。 東海道五十三次 全55枚 初版版元表示 保永堂(43)・仙鶴堂(1)・連名(11) 後版ができて 保永堂(47)・仙鶴堂(1)・連名(8) 宿場名と副題 …

浮世絵漫歩 20 歌川国芳の金魚づくし

歌川国芳 金魚づくし 歌川国芳の「金魚づくし」は、天保13年(1842)頃に出版されました。歌川国芳が朝桜楼と一勇斎の号を併用し、豊年印を使っている45歳の頃です。天保15年4月以降、国芳は三代豊国を継いだ初代国貞の一門になるのは嫌だとばかり…

浮世絵漫歩 19 歌川国芳の洒落 猫飼好五十三疋  

9歌川国芳「其まゝ地口 猫飼好五十三疋」の読み解き 作品名は、「そのままじぐち みょうかいこうごじゅうさんびき」です。ずばり言葉の洒落、猫大好きな江戸っ子の歌川国芳が描いた、東海道五十三次の宿場名を猫にまつわる絵にした洒落です。 なお、「地口」…

浮世絵漫歩 18 保永堂竹内孫八

保永堂竹内孫八と保永堂版「東海道五十三次」 竹内孫八は天明元年(1781)生まれ、嘉永7年(1854)7月21日に、74歳で没します。井上和雄の『浮世絵師伝』(昭和6年刊)には、「眉山(びざん)」という項を立てて、以下の通り述べられています。「竹内氏、俗…

浮世絵漫歩 17 葛飾北斎の百物語

葛飾北斎筆 百物語 この連作の題の「百物語」とは、「怪談会の一形式。夜、数人が集まって、行灯に百本の灯心を入れて怪談を語り合い、一話終わるごとに一灯を消し、語り終わって真っ暗になった時に妖怪が現れるとされた遊び。」(広辞苑)です。 この北斎の…

浮世絵漫歩 16 喜多川歌麿のビードロを吹く女(娘)

喜多川歌麿画 「ビードロを吹く女(娘)」(婦人人相十品 相観) 未婚の若い女性の輝きを、白キラの背景で表しました。キラとは、鉱物の雲母で、キラキラするところからに通称です。キラを画面に載せるには、細かい粉末にした雲母を膠と混ぜ、人物像の上にその…

浮世絵漫歩 15 復刻

私説 ふっこく 覆刻・復刻・複刻 浮世絵の復刻について、どういう意味かと問われるので、「ふっこく」全般について思うところを書きました。 辞典で「ふっこく」という語を引くと、覆刻・復刻・複刻と漢字が当てられています。50年ほど前までは「複刻」は…

浮世絵漫歩 14 歌川広重による画中の書き入れ

画中に彫師と摺師の名があった 歌川広重の保永堂版「東海道五十三次之内」の御油(ごゆ)の宿、宿屋の札にご注目下さい。一番右の札は東海道の「五十三」か御油の宿の順番「三十五」か、半分しか見えていないので省略して、あとは右から「東海道続画」「彫工 …

浮世絵漫歩 13 主要浮世絵師生没年

主要浮世絵師生没年 2020年7月から9月に東京都美術館で開催される三大コレクション展の出品目録を土台にして絵師を選んで一覧にしました。ついでに近年展覧会の多い明治期の絵師を少し付け加えました。肉筆の絵師が少ないですが、これくらい知っていれば、…

浮世絵漫歩 12 極印・改印の変遷

浮世絵の自主検閲印 浮世絵の画面中には、いろいろな情報が掲載されています。 作品名・絵師・版元の名はすぐに目に付きます。また、時代によって彫師・摺師の名が載っています。これらの他に、丸に極や改という字や年号・干支、苗字が入っている印がありま…