浮世絵漫歩 7 歌川国芳の道外十二支4

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左、たいこうち  午
 祭屋台の囃子の稽古か相談か、一杯やりながらの場面です。太鼓は馬の皮を張りますから馬の腹には太鼓の巴紋、狸は腹鼓から鼓の担当、狐は初午の鳴り物から、ちゃんぎり、よすけとも言われる当り鉦を担当して楽しくやっています。浴衣の柄がはっきり見えていて狸は茶釜、狐は宝珠です。
右、かみゆいどこ  未
 羊は紙を食べるところから、紙を髪に通わせ、「羊」と言う言葉は、髪結いまたは髪結い床を指す言葉として洒落て使われました。江戸訛りでは「かみいい」です。これは髪結い床の場面で、その構造は、客は外に向いて座って結ってもらいます。奥座敷が待ち合いになっています。籠が置いてありまして、どうやら客は共に故紙を買い取る紙屑屋さんのようです。髪結い賃が十六文、蕎麦、浮世絵、按摩の料金です。寄席の木戸銭も同額で、「へい」と言えば「一」のことという、数の符牒が共通です。