浮世絵漫歩 8 歌川国芳の道外十二支5

申のもゝとり
猿が桃を運んでいる小僧を襲撃し、荷物を強奪していきます。猿蟹合戦でも申が柿の実を奪います。『西遊記』中の、孫悟空が天界に昇って、神女の西王母のもとにある三千年に一度実る不老不死の桃を奪って大暴れをする場面を思わせます。この桃は、西王母漢の武帝に献じたという伝説があります。
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酉のふうふげんくわ
 鶏の夫婦喧嘩の立ち回りです。擂り粉木を手にした籠柄の浴衣の雄鶏を止めているのは家主でしょうか。雌鶏の着物柄を団七縞と見ると、『夏祭浪花鑑』関連の舞台面と推察されますが、残念ながら思い当たる演目が浮かびません。右下、釜とへっついの脇にある物が擂り鉢(八)、櫛(九)、十能(十)で、質物(七)を巡っての喧嘩と見れば、一目上がでおめでたいです。
〈今回は、絵柄関係で上下になりました〉