2024-04-03から1日間の記事一覧

琴腹 福福亭とん平の意訳

琴腹 後一条院の御治世の時、中宮のお部屋に立てられていた琴の腹に鼠が子を産んだので、お仕えしている人たちが、これは一大事と言い合っていたところ、天皇様も、「このようなことは、先例が多くあることか」と、殿上人たちにお尋ねになりました。「置いて…

和泉式部 福福亭とん平の意訳

和泉式部 昔、一条院の御治世、栄える京の都に、和泉式部という優美な女房が一人いました。内裏には橘(たちばなの)保(ほう)昌(しよう)保(やす)昌(まさ)という優美な男性が一人いました。保昌は十五歳、和泉式部は十三歳という年頃から愛し合い、和泉式部が十…

師門物語 下 福福亭とん平の意訳

師門物語 下 冷泉は、「さあさあお急ぎ下さい」と浄瑠璃御前を促しますが、「次の土地はどこの国のどこか判らないで、ただ『よしみつ寺』と尋ねても、いったいどこの誰がよしみつ寺はどこの国のどの場所だと詳しく教えてくれるのだろうか」とお泣きになりま…

師門物語 中 福福亭とん平の意訳

師門物語 中 浄瑠璃御前はお気の毒に、師門公が討たれたとお聞きになってから思いに沈み、三迫で自害しようと思い定められのではございますが、お付きの冷泉が考えがあるからと言ったことで、「安直な考えに進んで、つらいことを重ねる悲しさよ」と嘆いてい…

師門物語 上 福福亭とん平の意訳

師門物語 上 師門物語 意訳 さて、灯火は消える前に光が増す。人は死ぬ前に悪念が起こる。そのような世の中、朝には精気に溢れて人生を誇っていても、夕暮れには白骨となって野の外れに朽ちる無常の世である。 さてさて平の将門公は、まことに不思議の力を持…