2022-12-04から1日間の記事一覧

木幡狐(こはたきつね) 福福亭とん平の意訳

木幡狐 全 少し昔のことでありましょうか、山城国木幡の里に、年を重ねて長生きをしている狐がいました。稲荷の明神のお使いを務めていることで、あらゆることが思いのままで、とりわけ子どもは、男子も女子も多くいました。どの子も知恵が働き、学問、芸能…

七草草子 福福亭とん平の意訳

七草草子 全 さて、世の中で、天子様の御志ほど有り難いことはございません。と申しますのは、まず第一に、陽気の盛んになる春の始めには、国の全体から国の民の一人一人に至るまで不自由がなく、一年中天災も人災も無く平穏無事であるようにと、天子様おん…

瓜姫物語 福福亭とん平の意訳

瓜姫物語 全 古代の神代から人の歴史が始まって、どれほど経ったともわかりません。大和の国石上というところに、おじいさんとおばあさんがいました。二人は、後々の世までも添い遂げようと深く契って、長い年月を過ごして来ましたが、一人の子もいませんで…

かざしの姫君 福福亭とん平の意訳

かざしの姫君 全 昔、五条の辺りに、源の中納言様と申し上げて、とても上品な方がいらっしゃいました。その奥様は、大臣様のお嬢様でございました。お二人の間には、姫君がお一方いらっしゃいました。お名前を「かざしの姫君」と申し上げます。そのお姿を拝…