2020-05-11から1日間の記事一覧

ささやき竹 福福亭とん平の意訳

『地蔵堂草紙』では、お坊さんも欲望のある人間であると語られていました。同じような笑い話を拾いました。 ささやき竹 昔、河内国の前の役人で、刑部左衛門(ぎょうぶさえもん)よしちかという裕福な人がいました。年をとっても子供がありませんでした。屋敷…

地蔵堂草紙 福福亭とん平の意訳

『天稚彦草子』を紹介した時に少し触れたので、ここに掲げておきます。発端は『日本霊異記』に見られる僧の欲望、中間は浦島太郎のような異界訪問、そして最後の変身が『天稚彦草子』と、三つの作品の要素が重なっています。 地蔵堂草紙 時は昔のこと、越後…

天稚彦草子(一名 七夕の草紙) 福福亭とん平の意訳

7月7日・七夕の日、牽牛・織女はなぜ年に1回だけしか逢えなくなったのか、一つの物語を訳してみました。この作品はいろいろ別名があります。 天稚彦草子(あめわかひこそうし) 一名 七夕の草紙 昔、長者の家の前の川で、屋敷の女が洗濯をしていました。そ…

証空、師の命に替る事(泣不動縁起) 福福亭とん平の意訳

証空、師の命に替る事 昔、三井寺に智興内供という尊い方がいました。年を取って、どういう因縁か病気になって、重篤な様子になりましたので、弟子たちが集まって泣き悲しんでいました。その時に、安倍晴明という神のような陰陽師がこの様子を見て、「この度…