浮世絵漫歩 5 歌川国芳の道外十二支2

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右、蛇の目ずしの寅
 虎仲間が、ちょいと寿司でもつまもうかと来ましたが、屋号は蛇の目、これは朝鮮出兵の時に虎退治で名を上げた加藤清正の紋所で、虎にとっては怖い存在、みんなびっくり、逃げるしかありません。虎は蛇の目傘も嫌ったのでしょう。雨に遭ったら、上等の蛇の目傘ではなく、安い番傘を使ったのでしょう。なお、番傘とは、商家で客に貸したり、奉公人が利用するので、紛失を防ぐために屋号や家紋とともに番号を付けたので、番号入り傘、縮めて番傘と言う名になったと言われています。          左、卯のだんごや
 最近聞かなくなりましたが、満月の夜は、月を見上げて、兎が餅を搗いていると言いました。その兎の店の名は、「月ぬき団子」、この屋号は、念入りによく搗いてこしらえた団子を表す「搗き抜き団子」を掛けています。江戸では、景[影]勝(かげかつ)団子という人気団子があり、『月雪花名残文台(つきゆきはななごりのぶんだい)』という変化舞踊の一つとして「玉兎月影勝(たまうさぎつきのかげかつ)」、通称「玉兎」に団子屋の所作が取り入れられています。