浮世絵漫歩 22 名所江戸百景1

名所江戸百景 二代広重の絵 
「名所江戸百景」は安政3年(1856)から初代歌川広重によって描かれた118枚の連作です。安政5年(1858)に初代が亡くなった後、安政6年(1859)に二代広重の襲名披露を兼ねたかといわれる「赤坂桐畑雨中夕けい」が追加され、さらに目録1枚が加わって全120枚になりました。二代広重は、初代に特に可愛がられ、初代養女に婿入りしています。
 二代の「赤坂桐畑雨中雨けい」を初代の「大はいあたけの夕立」と並べると、通底する物があることを感じます。

f:id:fukufukutei:20200801113510p:plain
f:id:fukufukutei:20200801114041p:plain

大はしあたけの夕立           赤阪桐畑雨中夕けい
 
 二代の絵を見ていると、初代の良き片腕であったと感じます。初代の没後に刊行された「富士三十六景」において、色指定を担当したのも、初代の技芸を受け継いでいたからこそできたことでしょうが、結局は初代の影法師から抜け出せずに苦しんだような気がします。二代は、初代の没後に「諸国名所百景」を出し、その腕前を見せますが、この連作は完結したのか、全貌が不明です。